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鳥栖残留決定も赤字転落、バルサ流失敗…苦難1年 - 日刊スポーツ

サガン鳥栖が2年連続、最終戦でやっとJ1残留を決めた。清水に敗れ2連敗も、16位湘南が引き分けたため、勝ち点で並びながらも得失点差による15位で“他力残留”となった。

試合後、選手に笑顔があるはずもなく、元日本代表FW豊田陽平(34)は「負けて残留し、すごい複雑」とチームを代弁。今季を振り返り「今年は(ルイス・カレーラス)新監督のもと、つまずいた部分があると思う。来季は残留争いにならないようにしたい。来年(鳥栖に)いる、いないにかかわらず、みんなそう思っている」と再起を期した。

この日は、引き分け以上で自力残留を決められる条件だっただけに、金明輝監督(38)は「今まで積み上げたものを投げうってでも、勝つ、もしくは引き分けたかった」。鬼気迫る思いで試合に臨んだが「勝ちにこだわり過ぎて、良さを半減させてしまった。そこは反省している」と言い、攻守のバランスを欠いたことを悔いた。

それでも、一時は最下位から残留に導き「後ろに火がついた状況だったが、選手がひとつになってくれたのが唯一の救い」と安堵(あんど)の思いも吐露。

成績低迷のため昨季途中で解任されたフィッカデンティ監督の制約の多い守備重視の戦術から、今季は180度方針を転換した。得点力アップを掲げ、元バルセロナのカレーラス新監督を招聘(しょうへい)し、ボール支配や攻撃で圧倒する“バルサ・サッカー”に活路を見いだした。

だが大幅なスタイル変更はチームにフィットせず、4連敗で1勝1分け7敗の最下位だった4月28日の湘南戦後に、またしても解任劇が起こった。

流れを好転させるため、昨季も途中から指揮をとったのに続き、金監督が“緊急再登板”。劇的な変化は起こらず、結局また、残留争いに巻き込まれた。

苦しんだのは、チームだけではない。年間6億円の大口スポンサー契約を結んでいた、ユニホーム背中部分に掲出のサイゲームスが昨季限りで撤退。18年度決算は、推定年俸8億円のトーレスや1億5000万円のFW金崎らよる人件費高騰や、フィッカデンティ監督解任の違約金がかさむなどして、4期ぶり約5億8000万円の赤字に転落した。クラブにとっても試練の年だった。

ただ来季について、2年連続残留争いの経験や反省を踏まえ、竹原稔社長(58)は「地方クラブで財源がない中でやっており、反省はいっぱいある。だがこの経験を生かして次はやっていかないといけない」としつつ、ビジョンについて「地方クラブとしてもう1度育成というクラブのキーワードを強化し、身の丈に合った経営をしていきたい」という。

巨費をつぎ込む大型補強に頼らない緊縮財政の方向で、竹原社長は、トップチームの編成については金監督の続投を問われ「そうです」と明かし来季も指揮を託す構え。選手については「身の丈に合った予算の中でしてくれる選手と契約していかないといけない。若手も育てていく。クラブとしては極端にシフトして行くでしょう」と語った。来季は、地方クラブの真価が試される年になりそうだ。【菊川光一】

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2019-12-07 09:31:00Z
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