令和初の高校選手権がド派手に幕を開けた。開会式直後の1回戦で、国学院久我山(東京B)のFW山下貴之が令和初ゴールと初ハットトリックを達成。

FW山本航生(ともに3年)も3得点し、史上初の開幕戦ダブルハットトリックを成し遂げた。

05年度大会の一条(奈良)FW徳村真ノ介しか成しえなかった開幕戦のハットトリックを2人も決めたチームは、前原(沖縄)に8-0で圧勝した。

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歴史に残るゴールにも喜びは控えめだった。後半12分。敵陣中央でスルーパスを受けた国学院久我山FW山下貴がドリブルで持ち込み、ペナルティーエリア手前で利き足の左を振り抜いた。令和のハットトリック第1号にも、穏やかな笑みで仲間に手を挙げただけ。「自分だけのゴールじゃない。少しでも勝ちに近づけたことがうれしかった」。高校初の3得点より、初戦突破を引き寄せた安堵(あんど)感が心地よかった。

“予告”通りに決めた。この日の朝。父治男さんの「頑張って」というエールに選手権の令和初ゴールを誓った。今大会前は都大会1得点の悔しさを晴らすべく居残りシュート練習を敢行。開始わずか6分で男の約束を果たした。

“予言者”はもう1人いた。FW山本航は試合前、仲間への「ハットしてくるわ」との言葉を現実にした。初戦敗退した今夏の高校総体は無得点。浦和FW興梠らの映像から学んだ裏に抜ける動きで、両校最多12本のシュートを放った。「センターFWなので狙っていました」と胸を張った。

開幕戦初のダブルハットトリックで最高のスタートを切ったが、山下貴は「大勝で気が緩みがちになる。勘違いしないように。日本一にはまだ5試合ある」と締めた。最高成績は準優勝。令和初の王者の称号を得て、歴史を塗り替える。【浜本卓也】