プロ野球南海(現ソフトバンク)で捕手兼任監督を務め、ヤクルト、阪神、楽天でも指揮を執った野村克也(のむら・かつや)さんが11日午前3時半、虚血性心不全のため死去した。84歳だった。

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強打の捕手。巨人阿部慎之助2軍監督は偉大すぎる背中をずっと追いかけてきた。どこまでも厳しい野村氏の評論を新聞、テレビで見聞きした。配球への容赦ない指摘は身に染みた。捕手だけに称賛された記憶はほぼなかった。

14年甲子園でのオールスターの翌朝だった。大阪市内のホテルのフロントで偶然、野村氏と遭遇した。恐る恐るあいさつをすると「いつも、文句ばっかり言って悪いな。あんまり気にしないでくれ。頑張ってくれよ」と耳元で言われた。

名選手で名監督。指導者として歩み出した直後の訃報(ふほう)に「長きにわたり野球界に貢献された方なので残念でなりません。ご冥福をお祈りいたします」と追悼の意を表した。偉大な捕手、偉大な監督の背中をこれからも追う。【為田聡史】