6月5日(日本時間6日)にオラクル・アリーナで行なわれたトロント・ラプターズとゴールデンステイト・ウォリアーズのNBAファイナル第3戦は、123-109でラプターズが勝利した。この一戦から我々が学んだことが5つある。
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第3戦でのステフィン・カリーは、欠場したクレイ・トンプソンとケビン・デュラントの穴を埋めるため、オフェンスを牽引した。そして、NBA史上に残るパフォーマンスを見せた。47得点、8リバウンド、7アシストを記録したカリーは、ファイナルで45得点以上を記録した9人目の選手となった。
第3戦でカリーは、レブロン・ジェームズのようだった。ジェームズは、クリーブランド・キャバリアーズの一員としてウォリアーズと激突した昨年のファイナル第1戦で、51得点、8リバウンド、8アシストを記録したのだが、今年の第3戦のカリーのように、ジェームズのキャブズは敗れた。
ジェームズは1対5という局面を何度も経験しているが、カリーはこの5年間のファイナルで同様のケースを体験したことはなかった。過去のジェームズも、第3戦でのカリーも、周りには実力者が揃っていた。しかし、得点を決めるという責任は、彼らの双肩にのしかかった。
このケースは、2015年のファイナルMVP投票を思い起こさせる。同年のファイナルMVP投票では、アンドレ・イグダーラがメディアから7票を獲得して受賞。ジェームズは4票で、カリーは0票だった。
要点はこうだ。水曜の第3戦でチームのオフェンスを一人で引っ張ったカリーに対し、2015年のジェームズはシリーズを通じてオフェンスを牽引した。ジェームズは、4年前のファイナルで平均35.8得点、13.3リバウンド、8.8アシストを記録している。また、キャブズがシリーズ中に記録した得点の38.5%(561得点中215得点)を一人で叩き出し、コートに出ていた間、チームメイトが決めた得点の52.7%をアシストした。
もし今回のシリーズでウォリアーズが敗れれば、4年前のジェームズのように、カリーもファイナルMVP投票で何票か獲得するだろう。
余談だが、シリーズに敗れたチームからファイナルMVPに選出されたケースは、ジェリー・ウェストのみだ。ちなみに彼もファイナルで45得点以上を記録した9選手のうちの1人で、3試合で同様のパフォーマンスを披露したのだが、それらの試合で現役時代に彼が所属したロサンゼルス・レイカーズは、1勝2敗だった。カリー、ジェームズ、ウェストを除いて、ファイナルで45得点以上を記録した選手は、マイケル・ジョーダン(3回)、ボブ・ペティット、エルジン・ベイラー、リック・バリー、ウィルト・チェンバレン、アレン・アイバーソン(それぞれ1回ずつ)で、彼らがハイスコアを記録した試合で、それぞれの所属チームは勝利を収めている。
ファイナル第3戦までを終えて、ウォリアーズは毎試合で109得点を記録している。スティーブ・カー・ヘッドコーチは「109得点は決められると思っていた。シリーズの残り試合でも同様のプレイを続ける。これからも109得点を決めるのなら、相手を108得点以下に抑えないといけない」と、語った。
ウォリアーズが勝利した第2戦では、ラプターズは104得点だった。ショットが決まらなかった影響もあっただろうが、第2、3戦でラプターズは38本の3ポイントショットを放ち、11本を成功させた第2戦には敗れ、17本を決めた第3戦には勝利した。
もしトンプソンが第4戦で復帰すれば、違いが見られるだろう。彼はウォリアーズの中でもベストディフェンダーの一人だからだ。リーチの長いデュラントが第4戦もしくはそれ以降に復帰しても、守備で大きな武器になれる。
過去20年のデータを参考にしてみると、ファイナルで平均109得点以上を記録すれば、ここ20年のファイナル中19回は優勝が可能な計算が成り立つ。唯一の例外は2017年のキャブズ(平均114.8得点)で、ウォリアーズ(平均121.6得点)に敗れた。
2018年のファイナルでは、平均116得点を記録したウォリアーズが、平均101得点だったキャブズを下して優勝した。
ここ20年のファイナルで平均104〜109得点を記録したチームは、2014年(105.6)と2007年(104.4)のスパーズ、2002年(106.0)と2000年(104.8)のレイカーズで、いずれのチームも優勝した。
現代のように3Pを多投する傾向になる前の時代も含まれているとはいえ、ウォリアーズは勝つために十分なだけの得点を決めているということだ。
デマーカス・カズンズは、昨年の夏にミッドレベル例外条項での契約を受け入れ、ウォリアーズに加入した。アキレス腱断裂から復帰するためにリハビリを続けていた彼は、スリーピート(3連覇)が濃厚な王者と契約し、復帰する頃にはチームの勝利に貢献できるレベルに戻っていた。その後、大腿四頭筋を痛めたものの、ファイナルに間に合った。
ただ、第3戦での彼を見る限り、後退したように思える。第2戦では11得点、10リバウンド、6アシスト、2ブロックの大活躍だったのに対し、第3戦では4得点、3リバウンド、ターンオーバー3回、フィールドゴール7本中1本成功だった。出場した時間での得失点差を表すプラスマイナスでも、第2戦は+12だったのに対し、第3戦では-12に落ち込んだ。
カズンズは、リーチの長いマルク・ガソル、パスカル・シアカム、サージ・イバカのディフェンスに苦しんだ。第1戦では8分の出場だったカズンズが第2戦で活躍した姿は、フォームを取り戻したというより、アドレナリンによる効果だったのではないだろうか。
カリーは、第3戦後にカズンズについて聞かれ、チーム内のディフェンスでの役割、そしてオフェンス時のカズンズに吹かれたファウルについて言及した。
「優れた選手であれば、難しい試合を経験しても、そこから立ち直れる。チームに貢献できる自信があって、試合にインパクトを与えられる。彼は、そういう要素をチームにもたらしてくれる。彼に合わせてついていくだけさ」。
オールスター、あるいはシーズンMVP級の選手がトレードされれば、注目されるのは当然その選手ということになる。次に話題になるのは、成立したトレードの鍵になる選手が新天地で機能するかどうかで、スター選手と抱き合わせでトレードされた選手に意識が向くのは最後になる。
ダニー・グリーンにとっての2018-19シーズンは、まさにこのケースだった。グリーンとレナードは、スパーズで7年ともにプレイし、2度のファイナル進出を果たした。そして、2014年にはスパーズの優勝に貢献している。だが、レナードがけがをした2017-18シーズン終了後にトレードを要求すると、スパーズはグリーンも一緒に放出した。
NBAのトレードでは、トレードした選手の年俸の差額を規定の範囲内にマッチさせなければいけない。そのため、単純に金額を合わせるためだけにトレードされる選手もいれば、新天地で少しでも楽にやれるようにと、目玉の選手と仲が良い選手を一緒にトレードする場合もある。
しかしグリーンは、スパーズ時代からプレイオフで結果を残してきた選手だ。今季までにファイナルで12試合を経験し、3P成功率52%を記録。2013年にマイアミ・ヒートと対戦したシリーズでは、当時のファイナル記録となるシリーズ合計27本の3P成功数を記録した(現在の記録は2016年にカリーが記録したシリーズ32本)。
ミルウォーキー・バックスとのイースタン・カンファレンス・セミファイナルではスランプに陥ったグリーンだったが、第3戦の序盤、それから第3Q終盤にかけて持ち味を発揮し、ラプターズの勝利に貢献した。
ラプターズは、オフェンシブリバウンド数でウォリアーズを15-6と上回りながらも、第2戦に敗れた。第3戦ではウォリアーズが13-5で上回ったが、同様に敗れた。通例ならば、オフェンシブリバウンドで上回るのはポジティブな要素で、自チームのシュートミスを相手に拾われることを嫌うヘッドコーチもいる。しかし最近では、オフェンシブリバウンドで得られる恩恵より、デメリットのほうが伝えられるようになってきている。
チームメイトのシュートミスをカバーできれば、それは良いことのように思える。だが、第2戦でのラプターズ(FG成功率37.2%)、第3戦のウォリアーズ(FG成功率39.6%)を見ればわかる通り、シュート成功率が低いからオフェンシブリバウンドの数が結果的に増えただけなのだ。
もう一つのデメリットとしては、リバウンドを奪うのに熱心になりすぎると、トランジションディフェンスに影響が出てしまうことが挙げられる。
第2戦と第3戦では、試合に敗れたほうがオフェンシブリバウンドからのセカンドチャンスの合計得点で上回ったというデータがある。第2戦ではラプターズが23-0と上回ったが5点差(104-109)で敗れ、第3戦ではウォリアーズが23-12で上回るも14点差(109-123)で負けた。ここ2試合を制したチームは、速攻からの得点で若干上回っている。それだけ、オフェンシブリバウンドへの対応は、難しい選択を迫られることになるのだ。
ラプターズのニック・ナースHCは「大雑把だが、選手たちには、チームがショットを放ったら即座に良い判断をするように求めている」と、第3戦後に語った。
「オフェンシブリバウンドを取りにいくか、トランジションディフェンスのために自陣に戻るかのどちらかを選ぶようにしている。ただ、試合終盤に接戦になって、もし5点ビハインドの状況であれば、勝つチャンスを残すために全員がリバウンドを取りにいくだろうね」。
試合結果に好影響を及ぼしていないとはいえ、オフェンシブリバウンドは注目すべきスタッツだ。
原文: Five things we learned from Game 3 of 2019 Finals by Steve Aschburner/NBA.com(抄訳)
https://www.sportingnews.com/jp/nba/news/five-things-we-learned-from-game-3-of-2019-finals/ibyv29jg8e5f1np73n4kua6i7
2019-06-07 09:24:00Z
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