『フランス・フットボール』誌5月28日発売号では、数日後に迫ったUEFAチャンピオンズリーグ決勝にページを割いている。そのなかで、リバプールとトッテナムの両チームをよく知る人物を、ティエリー・マルシャン記者が取り上げている。
その人物とはダミアン・コモリ。現在はフェネルバフチェのスポーティングディレクターを務め、トッテナム(2005~08年)とリバプール(2010~12年)でもかつて同じ職にあった。遠い昔には国見高校でも一時期働いたことがあるというコモリが語る、両クラブの違いとは……。
監修:田村修一
リバプールとトッテナムの文化の差。
「かつてビル・シャンクリー(1959~74年にリバプールの監督を務めた伝説の人物)はこんな言葉を残した。『1位は1位だが、2位は何もないのと同じだ』と。この格言は、リバプールのDNAに組み込まれている。
朝、メルウッド(リバプールの練習場)に到着して事務所や食堂に向かうため階段を上る。すると右手下側にはチャンピオンズリーグ優勝のトロフィーが飾ってある。階段上の左手にも別のチャンピオンズリーグ優勝トロフィーが置かれている。それこそがこのクラブが何であるかを示している。シャンクリーが築きあげ、後継者たちが受け継いできた勝者のエスプリを。
トッテナムのDNAは、スタジアムに刻まれた次の言葉に要約できる。『ザ・ゲーム・イズ・アバウト・グローリー』。これはなんとしても勝利を目指すという意味ではない。
このふたつの言葉こそが、ふたつのクラブと彼らの歴史の違いを端的に示している。トッテナムは素晴らしいプレーを育む伝統のもと、グレン・ホドルやクリス・ワドル、ポール・ガスコイン、ダビッド・ジノラといった選手たちや、1960年代初頭のチームがそれを体現してきた。他方でリバプールは、常に勝利のみを追求してきた。
ところがその傾向が、このところ変わりつつある。ユルゲン・クロップが監督になったリバプールが勝利への意思をより強固にしたのに対し、トッテナムもマウリシオ・ポチェッティーノが選手たちのメンタルを変えたからだ」
https://number.bunshun.jp/articles/-/839510
2019-05-31 08:00:00Z
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